建築作品賞 現地審査(丹生川の古民家)

コンテストの現地審査に来ていただけることになり、高山へ。

 

今回は攻めの姿勢でと色々用意してのぞみましたが、窓外から聞こえてくる川音にみんなで耳を澄ましたり、ほっこりでした。

学生時代からお世話になっている施主の美味しい手料理をご馳走になっていると、一回生の春に彼女の下宿先の本棚に佐藤さとるさんのコルボックルシリーズが並んでいて、友達になれるかもと思ったのを思いだしました。

 

応募にあたって、作品の説明に加え、ここ2年ほど考えていたことを簡単にまとめました。 

「持続可能な社会における建築とはいかなるものだろうか。建物が余る見通しの中、つくることも躊躇してしまう。再利用、再資源化するためには戻りが少ないほど消費エネルギーが少なくて済む。すでにある建物を素材ととらえ、人によせてカスタマイズする。カスタマイズの材料は育てることで尽きることのない木材をベースに廃棄時にも環境負荷の少ない材料を使いながら、国内の林を動かしていく。鉱物の採掘のため地表を荒らすことをやめ、今後はすでに掘り返したものの循環で対応できる程度の使用量にする。消費者は新しくつくられた「もの」対して支払いをするのではなく、人の感性により判断される手間や技術、それによりもたらされる居心地の良い時間やサービスに対して支払いをし、建物と長い時間をかけて信頼関係を築いていく。結果として建物が長寿命化する。そのようなサイクルがめぐるようになれば、私たちは取り巻く環境を心の底から美しいと思えるようになるだろう。」

 

大きく2点で私たちの専門分野において、

 

・循環可能な建物の生産システムを再構築すること

・街、建物や住まいに対して、消費型でない価値観を提案すること

 

が必要だと思っていました。

 

人の価値観の方はまだすっきりしませんが、自然や地球の一部から抽出した素材を使っている以上、個人的な建物・既に建っている建物でも社会性を持ち、 その社会全体の資産となるよういつも取り組まなくてはならないのだと思います。建物はうまく作れば長寿命ですので、今使っている人が状況が変わり、使わなくなった時にまた次の使い手が見つかるよう。

 

理想がないと前に進めませんし、話し合って進めなければならない大きなことがあることは、そう悪いことではないですよね。 

ソファからの景色。庭が回り込むことで和室が庭に張り出したような印象を受けます
ソファからの景色。庭が回り込むことで和室が庭に張り出したような印象を受けます