WEB内覧会 コンセプト(湖東の家)

設計中ほとんどはこの赤い光の中にいた気がします。

(図面上の)ソファに座り、かなり執拗に「赤くなれ~、赤くなれ~」という感じでやっていたような。 

 

どの方向の景色もすばらしかったのですが、建主は特に湖のある西の解放感が気に入られて、南面のワイドビューに加え、西にも開くことにしました。西には湖があり、夕日の直射に加え、湖からの反射も期待して、それを天井でとらえられないかと考えました。傾いてきた光が天井を伝って奥までいくように、そしてその光をより赤く染めてみたくて、天井材は赤みのある杉材にし、光の方向に張り方向を揃えました。また杉板一枚一枚に目地をとることで、光の方向性をより強調しています。どうですかね?杉の赤みも夕陽に染められたのかしらと見えてきましたかね?当初はテラスも赤いタイルを貼って、赤い光を天井に反射させようと考えていたのですが、これは減額案により中止。でもやり過ぎず、これくらいでも良かったかなと思います。

 

嬉しかったのは、正直なところ、湖まで結構距離があるので、なんとなくの明るさがあるものの、どこまでその影響が建物にあるかわかりませんでした。建築撮影の日、夕方の撮影までの時間、奥様と居間のソファに座ってたわいのない話をしていると、奥様が向こうの方を見て「あっ!」。見ると、湖の水面がキラキラ輝いていて、お昼間その存在に気がつかなかった湖が見えたのです。二人でしばらくその様子を「わー!」と見入って、過ごしました。

 

設計中、色々なことを喜んでもらえるかなぁと考えながら作りますが、建主が使われるタイミングと時間差があるので、なかなかどうだったか確認することできないのですが、隣で喜んで下さっている奥様がいて、一緒に見れたことは私にとっては、感慨深いものでした。

 

そんな盛り上がりのあと、暗くなっていくわけですが、きれいな夕暮れに天井でもう少しアクセントをつければ、より暗くなった時の静けさが引き立つのではないかそんなことを考えていたと思います。

photosⒸYohei Sasakura


追記

天井が赤くなるもう一つ前の時間。

この時間はテラス土間からの反射があり、天井がふんわり明るくなります。外の景色も光をおびます。

夕方は野田さんの襖もまた違う表情に。

正面から照らされるこの時間はキラ押しのお花の版は沈み、金の絵も部屋色に染まります。

華やかなキラ押しが朝の光にぴったりだと思っていたのに、夕方もまたぴったりに思えてしまう不思議。