夕方の内部空間の演出にこだわった作品で、外観は集落に馴染むことを目指していたので、外観コンテストとなると地味かなと思ったのですが、チャレンジしてみて良かったです。
大先輩の建築家の方々に講評いただけると、背筋が伸びます。
↓良ければ、講評ご覧下さい。
一年点検も兼ねて、建具廻りの不具合を見に湖東の家へ。
湖東の家は夕陽で居間(LDK)を染めることをコンセプトにしていたのですが、染めたいものがもう一つ。
それを確認するため、田んぼで張り込み。
空が広い場所での大きな屋根で空の色を映すよう屋根色はシルバーにしました。
そんなこともあってどの程度色が変わるかを確認したかったのです。
暑いけれど、怪しまれないようスケッチなどしながら、過行く時間を待つ。
年明けに思い立って、チャレンジあるのみ!と応募してみた関西建築家新人賞。
自宅の引っ越しをしていると、一次審査通過のメール。
えー!捨てる神あれば拾う神ありー!(何にも捨てられていないのですが)
と喜んで、二次の現地審査。
とにかく初めてで、お越しいただいた皆さん、お付き合いいただいた建主にも本当に申し訳ないくらい散々だったんです。
プレゼンすべきところで、なんというかもう審査員の方から助け舟出していただいても、乗れないみたいな。
というわけで大失敗…とトボトボ帰ったのでした。
結果やっぱり受賞は逃したのですが、講評が嬉しくて良ければ見てみて下さい。
階段室は北向きの横長窓で安定した明るさを確保しています。窓は外付け(構造柱の外側につける)にし、段板から手が届きにくい高さの建具(奥)は、(写真)手前に引いてきて掃除できるようにしています。1階廊下との隔て腰壁は低めにし、階段室の明かりが廊下まで伝わりやすくしました。腰壁が低いので、子供たちの落下防止で木格子がついています。このお向かいに文庫棚があって階段で読んだり、隣接する寝室で寝る前に読んだり、という設定です。階段材はそんなわけで、一定時間座っていても冷たく感じにくい、柔らかいパイン材の浮造り加工のものにしました。手摺はタモ材で家具屋さんが受材までカッコ良く仕上げて下さいました。
コンクリートのテラス沿いの一番東側の部屋が主寝室になります。ここからも景色はこの通り。
もともとはもっと大きな窓だったのですが、寝室なのでもう少し籠った感じでというご指摘があり、再考しました。これは再検討し、良かったと思います。開口の上側はカーテンボックスになっていて、カーテンレールが部屋側から見えないよう、工夫しています。小窓は建物東面についていて、朝日が入ってきます。ベットはこの東面の壁(写真左の壁)を頭にして置く予定です。
今はまだお子様が小さいのでここでみなさんお布団で眠られています。仕事から帰って寝かしつけまでのバタバタ。結局寝ている間くらいしかゆっくり一緒に過ごせなかったりするので、この家族雑魚寝期もしっかり味わってもいい気がします。ベットは子供たちが一人で眠られるようになったらですね。
家の真ん中にWCLがあります。その外側が物干サンルーム、外部テラス、南庭へと続きます。
キッチンがオープンということもあり、そこではみ出たものも吸収できるよう、キッチンの裏側にあります。
子供たちが小さい間は、家族全員の服をここに収納します。
共働きということで、家事時短を目的に洗濯物をたたまず、ハンガーのまま収納したい、何なら物干し場から直接取って着たいというご要望でした。
枕棚には使用頻度の低いもの・カバンや帽子など。ハンガーパイプ下はクリアケースを並べていただく予定です。壁、天井は湿気をコントロールするモイスという材料にしています。洋服の焼けを防ぐため、部屋には窓がありませんがサンルームへの建具に姿見を落とし込み、見るときは少し隙間を開け、サンルームからの光を前から入れ、人を照らすようにしています。サンルームを開け放したまま出かける時は、この建具で施錠します。
LDK+和室はほぼワンルームになっています。
田園を望むワイドビューの南窓とテラスにつながる湖を向く西窓、北の広場を覗く大きな北窓二つでかなり開放的です。
台所からは子供たちの様子を確認できるよう、北・南の庭、LDKをおおよそ見渡せるようにしています。
棟近くのポケットスペースは子供部屋と繋がっていて、かわいい子たちが顔を出すというイメージです。
玄関戸は桧。引手ハンドルは真鍮。玄関戸横の銀色部分がポストになります。
右の大きな窓は和室の窓で、北庭で遊んでいる子供たちが覗いたり、ご近所の方と井戸端会議しても、と窓台は腰を掛けられる高さにしています。
この家の一番の売りはやっぱりこのテラス。みんなで土のついたものの下ごしらえをしたり、ご主人の一服場所になる予定です。タバコの味は知りませんが、日頃のあれこれから解放されて、さぞかし美味しいのではないでしょうか。私なら寒くなりだした季節に早起きして、一人でコーヒーが飲みたいです。居間からは見えにくい夕日もここからはばっちり見えます。
北庭はアプローチと草の広場になっています。
草地の丸く見える部分は築山で残土処分の目的でしたが、お子様たちも「近江富士や~」と楽しんで下さっているそうです。境界に塀は建てておらず、ご近所に囲まれた広い中庭のような空間で、半開放になっています。ご主人が慣れない庭仕事をしていると、ご近所の方がアドバイスして下さったり、子供たちがプールを出している光景をほほえましく見守って下さっているようです。
外観は船みたいにしようと思いました。
平屋は憧れですが、平面が大きいことは、屋根・基礎が大きくなり、コストアップに直結します。
平面を大きくしすぎないためにも、元気な子供たちの部屋は見晴らしの良い二階に。
屋根色は暮れることを感じることをテーマにしていたこともあり、空の色の変化を映すようシルバーにしました。
濃い色よりも反射が高く、熱負荷もましになります。
敷地南側は麦畑と聞いていて、麦畑にぷっかり浮かぶ予定でしたが、実際には水田でした。
稲穂の列も波に変えて、湖まで漕ぎ出そう!という感じで。
WORKSに「湖東の家」をアップしました。
東に山、南に田んぼ、西に湖のとにかくロケーションのすばらしい立地。
建主の気に入った西の景色を味わうべく、暮れることを感じることをテーマに作ってみました。
ぜひ、チェックしてみて下さい。
8月16日お盆休み最終日、晴れ!良かった!
撮影は笹の倉舎さんにお声がけしました。
どうしても稲刈り前の美しい田園風景と共に撮りたくて、皆さんに無理言って、調整いただきました。
本当にご協力ありがとうございました。
お引越し後の様子を少し。
いつもお引越し後に行くと格段に良くなったような気がします。
建主とは設計中から十分話をし、同じ方向を向いて進んできたつもりですが、まだ人が入るまではただの物で、人が入ると動きだします。その人色に染まっていることが嬉しいのです。
造園工事。晴れ。
梅雨入り後の造園工事だったので、お天気がどうかと心配していましたが、タイミング良く雨は免れました。
南面は景色がよく、それさえあれば何もいらないという感じですが、北面の和室は緑の中にいるような感じにしたくて、玄関前の植栽も兼ねて、植えていただきました。
前面道路側の北窓は道路から遠いとはいえ、少し目隠しがあった方が障子を開けてもらえるだろうと思ったこともあります。
和室に座り、窓の切り取られたフレームの中を確認。ちょっとしたことですが、無かった部分に枝が入ってくると、複層的になり、見え方が変わってきます。
今回は庭が広いので、職人さんに大きな骨格を作っていただき、少しずつ育てていっていただく、方針です。
敷地は南北に長い250坪。
北側接道で接道側は将来的に娘さんが家を建ててもいいし、ご主人が起業してもいいし、ということで南北に長い敷地を南側・北側に分けることもできるようにし、景色がひらける南部分に建物を建てました。
建物が道路から遠くなるので、敷地内に車が入られるよう通路を作っています。
旗竿敷地のようになるわけです。
お庭は京都で活動されているigune庭さんに協力を依頼しました。
大学の同級生ということをいいことに庭木選びに一緒に連れて行ってもらいました。
南庭は田園のワイドビューが広がるため、視界を遮らず、草広場を作るのみ。
エントランスのある北庭は和室の景色も兼ねて、家の玄関前に植栽コーナーを
作っていただきます。あとは残土処理も兼ねた築山と広場の予定です。
候補ははこの子たち。
たまたまですが、今回敷地のあるmade in 東近江のものがいくつかあります。
その一つの野田版画工房さんの襖紙。
建主のご希望でお願いすることになりました。
他の内装のイメージからまず下地となる襖紙の色を選びます。
それに地模様となる版を選ぶ。
和室照明はいつも難しいところ。
ダウンではモダンになりすぎるし、畳に寝転んだ時に光が眩しい。
壁が少なく、壁付けの照明をきれいに付けられそうにない、というわけで、
天井につける照明をお作りいただくことになり、大徳寺前の興石さんに。
勤めていた時に家具でよくお世話になっていましたが、ショールームは初めてお伺いしました。
最後複雑な取り合いの部分をおさめて下さって、ほぼ木工事が完了しました。
大工さんはホッとされたご様子で、「最初は、こんなに図面を見る習慣も無かったし、断っていたんだよー」と
話して下さいました。追い追われながら図面を描くというような日々でしたが、応えて下さいまして、ありがとうございました!
家の南側どの窓からも見える畑の中の茂み。
工事の無事竣工を祈願しに、挨拶に行ってみようと、茂みまで散策。
人もいないので、恐々鳥居をくぐり、お社の前に立つ。
お賽銭箱があったので、一つ。チャリン‥
わー!わー!わー!
バサバサバサッ!
お賽銭の音にびっくりして、鳥が一斉に飛び立っていきました。
巣になっているんですかね?
びっくりしすぎて、ろくにお参りもせず、再び現場へ戻るのでした。
天井を張りました。
夕陽を奥まで、奥まで…と作りました。
夕陽が杉で染まったのか、杉で夕陽が染まったのか。
日没前の景色と存在感を増す天井。
12月、土工事から着工しました。
まずは元畑ということもあり、表土がフワフワとして安定しないため、
深めに土を掘り、石を入れ、転圧しながら、入念に締め固めていきます。
何とかお盆前に実施設計をまとめ、お見積りを依頼。
いつも締め切り前は「何でこー全部タイミング重なってくるのー!(涙)」となっているような。
長女には8月の次女の誕生日会に余裕をもって臨めないのはお母さんが締め切りがわかっているのに、ちゃんと早く終わらせないからと怒られ、「時間がある限り、ちょっとでも良くしようとねばらなあかんの!」とケンカできるようになってきたのも、みんなしっかりしてきたなと思います。
あとは倒れこむように今年のお盆も実家でお世話になり、プール、台風、プール。
せっかくのお休みに台風がくるのは残念でしたが、最近は嫌いだった雨の日も「今日はそこそこでもいいよ」と言われているようで、ほっとするような気がします。
お盆が明けて、施主とお打合せにお伺いすると、ご夫妻共に、お疲れのご様子で、建主の方もこんなにがんばって下さっていたんだなぁと申し訳ないような心強いような気がいたしました。ありがとうございます。さて、工事は奥様のお父様がお力添えいただける予定です。よろしくお願いいたします。