路地の奥のその奥

ご夫婦+お子さま一人のご家族で、気になる敷地があるがどうだろうとご相談を受けました。

場所は街中の旗竿敷地。旗竿敷地ということもあり、それなりに価格は低く設定されていると思うのですが、

便利な場所ということもあり、なかなかのお値段。

敷地の街づくりの情報を調べたところ、商業地区で大通り近くということもあり、高い建物を建てやすい地域

だということがわかりました。結局、それが気になり、書類審査落ちになってしまったのですが。

とはいえ、せっかくなので、敷地を見に行っておこうと、界隈で良い物件があればとの思いもあり、

ご希望のエリアに出かけました。

道路から幅約2.5mの通路を進みます。奥の光が差しているところが敷地。
道路から幅約2.5mの通路を進みます。奥の光が差しているところが敷地。
北側、7階建集合住宅。東西南は2階建。南側建物の屋上物干しからの目線が気になる。
北側、7階建集合住宅。東西南は2階建。南側建物の屋上物干しからの目線が気になる。

現状ならなんとかないこともないけど、どうなのかなぁという思いもまま、界隈を散策。

 

見過ごしてしまいそうなところに、小さな路地があり、その奥にひっそりと家が立ち並び、

通りとは違う時間が流れているようでした。外者はその境界をまたぎ、入ってはいけないような気がして、

路地の手前から覗くことしかできなかったのですが。

京都は何重かの外枠に囲まれていて街を広げにくいこともあるのか、中心付近はこんなに細かく、密に奥深くなっているのだなぁと

改めて京都の町の奥深さに触れた気がしました。

下京税務署。ざっくりしたタイルが良い感じ。
下京税務署。ざっくりしたタイルが良い感じ。
細くて長い商店街。人がすれ違える程度の幅。
細くて長い商店街。人がすれ違える程度の幅。
あいまいな通路沿いに家が立ち並ぶ。
あいまいな通路沿いに家が立ち並ぶ。

そんな情報ももとに、土地探し。

条件は

・便利な場所に車を持たずに暮らす

・家族3人が暮らせる広さ(25坪程度)を確保できること

すると、どうかなという物件を発見!

 

つづく。


 つづきは「敷地発見!」へ。

敷地発見!

京都の市街地での土地探し。

見つかったのはこんな敷地。


前面道路は5.3mの比較的広い道で南側接道。東西の通りです。

四条と京都駅の間は南北の通りはタクシーがぬけていったりで、

車どおりがなかなか多いのですが、東西の通りは静かです。

 

建築条件付の土地で3号地はすでに商談中。

建築条件付きの土地というのは売主が主に工務店や住宅会社で建築の施工での売上げも見込んで、

敷地の価格を抑えて設定していることが多いようです。

今回は坪単価あたり10万円上乗せすれば、売買の交渉に応じていただけるとお返事いただきました。

 

さて、1号地・2号地どちらにするか。

1号地には北側に出っ張りがあり、敷地面積が広い分値段が高くなっていました。

ただし、①号地の敷地には既設の下水の引き込みがあり、その分を考慮すると、差額が少し埋まります。

建主の街並みに配慮したいという想いもあり、連なった2敷地を同じ会社で施工した方が雰囲気がそろう、

おそらく私たち以外は3階建てになりそうということもあり、隣が今のところ平屋の1号地に決まりました。

 


道路をはさんだお迎え。
道路をはさんだお迎え。
上下水引き込みあり。ただし、上水は管が細いため、管径の太いものにやりかえ。
上下水引き込みあり。ただし、上水は管が細いため、管径の太いものにやりかえ。


つづく。

この物件の前のお話は「路地の奥のその奥」へ。

街中パッチワーク

ここまで都市型な住宅の設計は初めてです。

 

道路に対してあまり圧迫感を出したくないなぁ、やっぱり平入り(軒先側から入る入り方)?

とはいえ限られた面積の中で、広く使いたいし・・などなどの思いから外形ができてきました。

階数は2階建て。これはコスト的なこともあるのですが、3階建てになると防災上の規制が厳しくなってくることもあり、

ご要望が納まるのであれば2階建てに抑えたいところです。

 

街中に住むといろいろなものを共有できて、便利な反面、自分だけのというのがなかなか難しいのも事実。

それでもただ家の中に籠るだけでなく、外気を感じれる場所が欲しくて、南側に面積の許す限りですが、

少し広めにテラスをとることにしました。

 

開口部からどんなものが見えるだろうと確認。

目は合いあたくないなぁ、お隣のお庭がここにあるなぁ、見たら嫌かなぁ、

この辺のお空いただきますか・・・ 

そんなことを地図と現場写真から検討します。


郊外だと、基本は自分の敷地内で完結できそうなのですが、

建てこんだ街では家の周囲の空間をみんなで共有して成り立っています。

そんな作業をしていると、既成の街中に新築するというのは、

 本当に縫い込むような作業なんだなぁと思いました。

 

京都の街中は巨大な集合住宅のようです。


 

この物件の前のお話は「敷地発見!」へ。

基本設計お打合せ

今年はしっかり梅雨だなぁと思ってましたが、久々の梅雨の晴れ間。

晴れるとすっかり夏がきていることに気づきます。

 

先日、柿本町の町屋の建主と基本設計の打ち合わせをしました。

基本設計とは、その建物の方針・骨格を決める段階です。

企画設計で気に入っていただいたプランをより精密に

法規性・構造・仕上げ材のおおよそのイメージ等をつめていきます。

 

当事務所では

平面図 縮尺1:100

断面図 縮尺1:100

模型

等で現段階での設計内容を建主と共有しています。

 

今回は模型を1/50の縮尺で作成し、内部の構成も見ていただきました。

建坪12.5坪、間口2間半にいかに暮らすかというテーマでした。

あれこれ考えたのですが、動線面積を節約するには階段と廊下を兼ねれば

良いんじゃないかということで、半階ずつ上がるスキップフロアの案に決まりました。

2階の南側に居間があり、広めにとった半屋外的なテラスと一体に使ってもらえるよう

お作りしたいなと考えております。

 

企画設計の段階で階段の上に細い直射日光を入れたらきれいなんじゃないかという理由で

天窓をとっていたのですが、模型で検討した結果、南北の窓に集中した方が良さそう、

メンテが心配ということで、中止になりました。

テラスの腰壁の高さが要検討事項となりました。街中なので目隠しした方が良いけれど、

あまり高くするとうっとおしい気もするし・・ということで悩んでおります。

やはり模型を作るとより具体的にイメージできます。

 

そんなことを共有し、いよいよ実施設計です。

右から、企画設計作った1/100の模型・内観の光のイメージをつかみたくて作った1/50のスタディ模型・より詳細に作りこんだ基本設計お打合せ用の模型。
右から、企画設計作った1/100の模型・内観の光のイメージをつかみたくて作った1/50のスタディ模型・より詳細に作りこんだ基本設計お打合せ用の模型。
断面
断面


この物件の前のお話は「街中パッチワーク(柿本町の町屋)」へ。

実施設計お打合せ

実施設計のお打合せをしました。

実施設計とは基本設計の内容に基づき、工事見積もりをしていただくための設計になります。

主に建主には展開図という部屋の内観立面図で、各部屋の壁にどういったものがとりついてくるかを

見ていただきます。ここまでくると、かなり具体的に部屋のイメージができるようになります。

 

この家は居間に大きめの開口をとり、居間とテラスがある程度一体に使えるようというのが目玉の一つなのですが、

模型を作った上で、その2部屋の間はアルミサッシでは一旦切れてしまうような気がして、木製建具で提案しました。

提案ではコスト的なこともあり、半解放に抑えていたのですが、

いやいやここは重要なところ。フルオープンにできるようにしようということになりました。

 

若干コスト的なことが心配でなりませんが、建主とこんなにコンセプトが共有できていただんだと

とても心強い想いがしました。

 

日常、一人で考えこんでいる内容がこうして誰かと共有できるとき、その内容にさらにエネルギーがふきこまれるように

感じます。

展開図。持ち歩きすぎて、ボロボロになってきてしまっていますが・・
展開図。持ち歩きすぎて、ボロボロになってきてしまっていますが・・
外壁はグレーご希望ということで、あれこれ取り寄せてニンマリ。
外壁はグレーご希望ということで、あれこれ取り寄せてニンマリ。


この物件の前のお話は「矩計図(柿本町の町屋)」へ。

地盤調査

土地の決済が済んだと建主から連絡があり、早速地盤調査を行いました。

 

スキップフロアのプランということもあり、構造設計事務所にも協力していただいて

いるのですが、場所を伝えると、「堀川通りの近くは堀川の堆積で地盤ができていて、

3mほどは地盤が良くないことが多い。」と近くの敷地の地盤データを見せて下さいました。

 

そんこともあり、改良が必要になるとある程度覚悟していました。

今回3軒同時の建て替えなのですが、そういえば、先に着工した隣地はどうだったんだろうと

聞いてみると、改良なしでいけそうなくらいの結果だったのこと。

 

密かな期待を持ち、小雨の中調査開始。

木造の住宅の場合、簡易な調査のスウェーデンサウンデンィング式という

おもりをのせながら、グルグルと棒を回転させていき、その回転数と

貫入量の関係によって、どの程度土が締まっているか調べる方法が一般的です。

それを大体家の4隅と中央の5ポイント調査します。

 

1ポイント、2ポイント、3ポイント・・おっ!これはもしかしたら!

セーフセーフ!改良なしでいけそうな結果!

 

小雨も吹き飛び、明日もホームランだ!的なホクホクとした気持ちで思わず、

お調子に乗ってしまう私でした。

 

厳しいコスト調整が予想される中、50万円の貯金。チャリンと音が聞こえました。

 

 

 

 

 

 

この物件の前のお話は「実施設計お打合せ(柿本町の町屋)」へ。

見積もり調整

できたー!ようやく工務店さんにお見積りを依頼。

大体45坪くらいまでの規模の住宅の場合、早くて2週間~工務店の状況によって1月ほどかかります。

その間、建築確認申請をしたり、施工図を描いたり、進めていくのですが、

とにかく緊張の糸が張りつめて、「結構締めたつもりだったけど、まだまだだったなぁ」

とあれこれ頭によぎります。待つこと3週間。工務店さんからのお見積りが上がってきて・・・

ここは出来ればあってほしくはないのですが、一つの山場。

まず、電卓をパチパチパチパチたたきながら、項目の抜けがないか、数量はあっているか、

余分に見すぎていないかなどを査定。

それから、本当に自分たちに必要なものは何かのVE案の選択を迫られます。

今回は建主がここは思いきって出そう!と思って下さったことと、工務店さんの太っ腹な計らいで

意外にスムーズにおさまっていきました。ありがとうございます!

そして、いよいよ工事契約へ。

 

この物件の前のお話は「地盤調査(柿本町の町屋)」へ。

地鎮祭

地鎮祭を行いました。

地鎮祭ってご存知ですか?トコシズメノマツリとも言われるようです。

その土地の神様を鎮め、土地を利用させてもらうことの許しを得るためのお祭りで着工前に行います。

この地鎮祭が結構おもしろいのですが、まず、4本の青竹を敷地に立て、その間を縄で囲います。

この内側がお祭りの場となるわけですが、こんな簡素な造りにもかかわらず、神主さんが「モ~~~」と神様を呼ばれると、

一機にその場所が外からは何者も入れないような空気に変容します。

神主さんが土地を清め、設計・施主・施工が力を合わせ「えいっ!えいっ!えいっ!」と鎮め物をします。

玉串奉奠をし、きれいな鈴の音を聞くと、本当に身も心もきれいになった気になるのです。

 

最近は家から神棚も無くなり、家の中で神様を感じる場所は無くなってきていますが、地鎮祭をすると、昔からの日本の文化、

かなりワイルドな時代からの文化に触れる気がします。ぜひ、機会ありましたら、感じてみてください。

 

当の私はあれこれご挨拶も考えていたのに、緊張してすっとんでしまい、お祝いのことばしか出てきませんでしたが、

この土地は売主が売りに出して、3日後に私が見つけ、まだ一度しかお会いしたことのなかった建主にご紹介したところ、

気に入って下さった土地。不思議ととんとん拍子に進み、その場に立っていたというような、ご縁としか思えないように

繋がっていった土地なので、神様も歓迎してくれているのではと思っています。

 

ここで一同ピリッと清めてもらい、いざ着工へ!

帯を締め直し背筋を伸ばしました。

 

お隣二軒は3階建てになりました。テントの敷地に2階建てが建ちます。
お隣二軒は3階建てになりました。テントの敷地に2階建てが建ちます。

この物件の前のお話は「見積もり調整(柿本町の町屋)」へ。

着工!

 

お正月明けからようやく着工しました!

まずは土工事。

凹んでいるところが、基礎梁がくるところ、土を四角に盛っている部分が

スラブ部分になります。

 

打ち合わせに工務店さんの事務所に伺うと何やら立派なヒノキの一枚板がどっさり。

もしや・・と思うと、やはり「柿本町の町屋」の階段板でした。

 

小幅のものをはぎ合わせて作る予定でしたが、材料屋さんの倉庫整理のセールで

良さそうなものを見つけたので買っておいたと見せてくださいました。

 

木材は節の量、幅などでグレードが決められています。

 

一等・・・・節あり

特一等・・ある程度節あり

小節・・・・節少なめ

上小節・・ほとんど節なし

無節・・・・節なし

 

というような具合です。

 

寿司ねたみたいなもので、

マグロで考えると無節がトロみたいなものですかね。

希少価値が上がると単価が上がります。

 

今回は「今日いいの入ってるよ!」的に、

この材料が来てくれる予定になりました。

 

そんなひょんな材料との出会いから、この先長い間お世話になることになるんですね。

 

 

 

配筋検査

基礎工事は石や砕石で地面を占め固め、

その上に地面からの湿気防止に防湿シートを敷きます。

それをコンクリートで押さえ、その上に基礎の鉄筋を組んでいきます。

 

いよいよ組みあがったということで、配筋検査へ。

配筋検査とはコンクリートに打ち込む鉄筋の量などを図面通りにできているか確認します。

今回はこの規模にもかかわらず、面積や立ち上がりの状況によって、

様々な組み方の指示だったので、各オーダーに応じて細かくチェックしました。

この物件の前のお話は「着工!(柿本町の町屋)」

プレカットチェック

着工すると、早速プレカットのチェックが始まります。

プレカットというのは、木構造材を一機に工場で刻んでしまうというものです。

私が就職した10数年前はまだ移行期で、手刻みじゃないと大工さんが愛着が持てないんじゃないかとか

プレカット工場には最新式の機械を導入しているものの、担当者の数値の入力ミスなどで、大失敗!なんてこともありました。

そんな移行期をのりこえて、今はほとんどプレカットです。

早く、しかもコストも抑えられるというメリットがあるのですが、GOを出すと本当に一機にいってしまうので、

何度何度も見直し、監督さん、プレカット担当者と共に二重三重にチェックし、

よし!いけるよね?いける!という感じでお願いします。

 

今回はスキップフロアで少し構造が複雑だったので、頭の中で組み立てながら入念にチェック。

建方

2016年2月12日(大安) 建方を行いました。

 

微妙なクレーン操作のもと、大工さんたちが手際良く組んで下さって3時の休憩までにはほとんど出来ていました。早い!

 

何度も何度も自分がきちんとイメージし、それを反映できているか、確認しているのですが、それでも構造が組上がるまで、なんとなく落ち着かず、自分の提案で良かったのか心配でしたが、ようやく組上がった構造を見て、ホッとしました。

 

働き始めた頃、大工の棟梁に構造が組上がった時点で、その建物が大体良くなるかわかると言われたことがありますが、形態として、その土地の特性と建主の要望をまとめ、自分なりにはうまく回答できたかなと思いました。

 

次の日、現場へ行くとご近所の方も興味津々。

「あそこはどうなってんの?」「なるほど~」と話しかけて下さいました。

 

そんなご近所の方にも見守っていただきながら、工事は進んでいきます。

上棟式

建方から一週間後、上棟式を行いました。

今の上棟式は職人さんと建主の顔合わせの機会で、棟が上がったことへの喜びと感謝を職人さんたちにお伝えします。

お天気は雨でしたが、お祝いに雨が降るのは良い事が降り込むと良いきざしと言われるそうです。

遠方のご家族も遠くから駆けつけて下さって、皆さん嬉しそうで、良かったなと思いました。

 

前日までに大工さんがきちんと雨仕舞を済ませて下さっていて、安心して部屋内で会食することが

できたこともあったのか、軒内から雨が降っている様子を見ていると、自分が住んでいるような気分に

なりました。

 

皆で工事の無事竣工のみなさんの安全と健康を祈願。

ここからいよいよ本格的な工事に入っていきます。

 

 

 

中間検査

今週ようやく中間検査が完了しました。

中間検査とは、主に構造の法定検査なのですが、木造2階建ての場合は、

建方後、屋根の野地板を敷き、構造材の取り合いに金物がついた段階で検査員に来ていただいて行います。

 

通常、建方から1~2週間後くらいには受けていると思うのですが、今回は東西隣地と距離がないため、

外側から順番に仕上げていく必要がありました。東西の外壁は全て部屋内からの作業。

細い隙間に手を入れながら、下から防水紙、胴縁、サイディングを少しずつ張り進め外壁完成。

そこから、内側に耐力壁を作って、ようやく検査を受けられる状態になりました。

ここまで込み入った場所での現場ははじめてだったので、なるほどこういう順番になるのかと勉強になりました。

さて、今の現場はこんな感じ。

自慢の壁。コンパクトなおうちですが、この面を大きく見せたいと工夫しました。
自慢の壁。コンパクトなおうちですが、この面を大きく見せたいと工夫しました。
テラス。一番好きな場所で室内は職人さんが作業されているため、ここでよく打ち合わせをしています。
テラス。一番好きな場所で室内は職人さんが作業されているため、ここでよく打ち合わせをしています。
階段の吹抜け。
階段の吹抜け。
断熱材。グラスウール16K。外側には断熱材入りの金属サイディング。
断熱材。グラスウール16K。外側には断熱材入りの金属サイディング。

この物件の前のお話は「上棟式(柿本町の町屋)」へ。


階段

「家に入ってすぐは、ハレの場にしたい。」

建主のその言葉にグーンとハードルを上げて、初めての鉄骨階段に挑戦。

 

決めたものの、鉄はあまり使い慣れてなかったので、

「うーん・・・」

お施主さんに「図面まだですかー」と言われるなか、考えること丸三日。

結局、しっくりこないまま見積もりをとり、工務店が決まるすぐに、

「知恵をかして下さい!」とお願いし、いろいろ鉄骨階段のことを教えてもらい・・

真冬寝込みながら考え、図面提出。

そこからさらに業者さんに施工図を描いてもらい、、ようやくここまでできました!ありがとうございます!

 

工務店さんからは当初からスキップフロアだから職人さんが働きやすいよう、

早めに設置してあげたいと言われていたのに、結局長くご不便かけてしまったのですが、

まだ骨だけの鉄骨階段に仮の段板がとりつくと、「こりゃ楽になったわ。」と

動脈硬化が治ったみたいに、皆さんスムーズに動かれるようになりました。

 

私はというと、自分の中でとてもハードルが上がっていたので、

なかなかうまくいっていて、安心しました。 

どれくらい嬉しかったかというと、パソコンの壁紙にしたいくらいですかね。(嬉しがり)

まだまだ出来上がってないんですけど。

こんな気持ちの時があるから、続けてしまうんですかね。

 

さて、しばらくコツコツ冷たい手摺をさわり、いよいよ仕上げの色合わせ。


ソファ生地の候補はこの三色。

さて、どの色が気に入ってもらえるでしょう?

枠廻り詳細図

ガサガサガサ。

夫「ちょっと何してんの?」

私「いや、その、ちょっと製図板を出そうと・・」

夫「今回CADで描いたんちゃうの?」

私「そやねんけどな・・」

真冬の一こま。 

枠廻り詳細図
枠廻り詳細図
平面詳細図
平面詳細図

当事務所では工事監理業務の一環として、枠廻り詳細図を描きます。

その他平面詳細図・家具図等も描くこともあります。

 

 

枠廻り詳細図とは主に窓廻りや内部建具廻りの詳細図です。

細かいこの材とこの材はこういう取り合いにしてほしいということを

ミリ単位で指示します。

 

体感的には大工さんや職人さんの一足先に材料に触れるような、

実施設計段階ではどちらかというと目を使ってアウトラインを追う作業なのですが、

枠廻り詳細図は材料をすーっとなでるような、これをすると質感レベルのことが

体に入ってくる気がします。

そんなわけで、デジタル的なものに邪魔されるのが嫌で図面を手描きしたくなり、

製図板をやっぱり出すという一こまでした。

ただ、PCの狭いスクリーンを覗き込むことが嫌になっただけかもしれませんけど。

 

 

上の枠廻り詳細図が実際出来上がるとこうなります。
上の枠廻り詳細図が実際出来上がるとこうなります。
窓に貼っているのが、枠廻り詳細図。
窓に貼っているのが、枠廻り詳細図。

  

さて、この枠廻りですが、メインの開口部(窓)は設計の初期から考え始め、

監理業務の段階で枠廻り詳細図としてを描きます。

それから、例えば今回施工してくださっている工務店の場合、

その詳細図をもとに大工さんと打ち合わせ、監督さんが現場を計測・施工図を作成。

その施工図をもとに材料を加工し、現場へ搬入。

それを大工さんが再び枠廻り詳細図を見ながら、おさめる流れになります。 

 

 

というように、何重にもわたって検討され、形になっていきます。

これだけ労力を注げば、(既製品に比べ値段が)高くなるわけだなぁとつくづく思うのですが、

「美は詳細に宿る」というか、通りすぎる場所であれば、ある程度ディティールが

雑でも気にならないかもしれないのですが、住宅のように永くじっくり味わう場所は

ぬかりなくやっておかなければと姿勢をただしています。

 そして、その注いだ労力は長い時間をかけて伝わっていくと思います。

仕上げお打ち合わせ

仕上げ工事に先立って、建主と仕上げのお打ち合わせをしました。

 

仕上げの選び方はどちらかというと自然素材系が多いと思います。

特に極端な自然主義なつもりはないのですが、気持ち良さそうなもの、

時間が経過しても美しく見えそうなものという観点でそのあたりに落ちついていくように思います。

 

実施設計の段階でおおよそ素材は決めておき、

さて、その色や仕様はどうしょうかというご相談をします。

具体的にどんなものがあるかというと・・・

外壁の色・内壁の色・床の色・タイルの色・障子紙・ふすま紙・ソファ生地・衛生器機の色・ロールスクリーンなどなど。

 

まずサンプル帳の中から良さそうなものをピックアップ。

サンプル帳に貼りこんである現物サンプルは小さいので、

もう少し検討しやすいA4サイズ程度のものをメーカーより取り寄せます。

それを持って、おおよそ私の方で現場や自然光の下で色を見た上で、良さそうなものをご提案します。

そして、今回はざくっとこんな色味に決まりました!

点検口

とにかく工期がなかなか厳しい現場なので、日に日に大工さん方も本気で、

あんまり邪魔もできないなぁーと一人で現場をぶらぶら。

 

「あっ!出来てる!」

 

 

ちょっと忍者気分。お風呂が覗けます。
ちょっと忍者気分。お風呂が覗けます。

このピシッと感。「こ、これしきのことで・・」と思いながらも、もう目はハートですよね。(私だけ?) 

 

ご説明するとこれは点検口で、

通常既製品を入れると、既製品の銀色の枠やらが、フローリングの割を無視して、

出てくるのですが、それを気遣ってオリジナルで点検口を作って下さいました。

 

こういうことが流行ると大工さんはめんどくさいと思うのですが、 

ちょっと嬉しくないですか、この仕上がり。

OF作業

お引渡し前にお施主さんによるOF(オイル塗装)作業があるということで、

その前日は床養生をはがす前にやっておきたいあれこれをしに、

現場にはあらゆる職人さんがみえて大賑わい。

 

ビフォアー
ビフォアー
アフター
アフター

 

 そして、きれいに壁が塗られ、OF(オイルフィニッシュ)作業当日。

オイルフィニッシュとは木部にオイルを施す作業です。

もちろん職人さんにやっていただけると、ベストなのですが、

減額調整で自分たちですることに。

 

今回はいくつかオイルを取り寄せ、施工性と匂い等により、

プラネットカラーのオイルに決めました。

なかなかのお値段ですが、香りも良いですし、素手で触っても

手荒れなしでした。

 

私も広範囲をするのは初めてでしたが、OFは革製品の手入れと似ていて、

オイルをつけてあげると急にきれいな塗れ色になる材もあり、なかなかやりがいがあります。

癒し効果ありです。

 


 

お友達の刷毛使いのスペシャリストも来てくださったということもあって、

作業はスムーズに午前中に終了。

久々体を動かし、作業後は天ぷらうどんとビールをごちそうになり、日曜日の昼間からほろよいになり、

こういうのも良いなぁと思いました。

 

 

・・・そして、夕方。

スペシャルゲスト アーティストの中村裕太さんの登場。

お手製の標札を装着して下さいました。

 透明感があり青磁のような色合いで、建物の外壁の色とよく合ってました。

 

枠と並行になっているか確認し、奥様の一押し。
枠と並行になっているか確認し、奥様の一押し。

 

 

こんな感じで少しずつ部品が揃い、お引渡しまであと一週間。

家に帰ってやっぱりビールを飲むのでした。

セッター:ウノ

OF作業日までの作業を何とか方をつけた先週。

 

そして、またピーーーッと鳴り、後半戦。

とにかく限られた時間の中、残された作業をこなそうと、

追い込みの作業が続きます。

 

何か手伝えないかと思うのですが、かえって足手まといですし、

ただ見守るしかなく、設計者は(スパイクを)決めることはできないんだなぁと

改めて思いました。

 

設計中にここはバシッと決めてほしい、これで決まるか、

ちょっとコースが難しい?でも決まるならこっちの方が良いよね。

みたいなことを考えていて、現場でそれが実現されていきます。

 

そのさじ加減を考える、そしてスパイカー(大工さんや職人さん)が一番良い感じで

スパイクが打てるようトスをあげなくてはと心得ながら描かなければならないのですが、

その心遣いが不十分だったりするとやっぱりうまくいかず反省したり。

 

だいぶ前にあげたトスがどう打たれるか、「決めてくれー!」と願いながら

ただただ手に汗にぎるのでした。

犬走り 仕上げ工事

設計段階からどうしようか迷っていたエントランスである犬走りの仕上げ。

 

施主はいかにも和風みたいなものはあまりお好みでないような気がして、

かつコストも抑えたい。

でも、モルタルの金鏝だとあまりにも味気ないし、なんか滑りそう。

これでいいやと思うものはどうやら金鏝が年月が経ち、自然に洗いだされて、

ザラザラしてるようだし‥

 

そんなままいよいよ仕上げ工事が近づいてくる頃、

街中でいい感じの仕上げ発見!

見かけたものは、ザラッとしたモルタル仕上げに3分程度の黒っぽい石が

散らされていて、その石の小ささのためか、なんだか石の部分が

大事そうに願い事をしているみたいに見えました。

石がないと一面なのですが、石を入れると石と面が分離して、石が浮いて見え、

よし、これをお手本にさせてもらおう。

 

いよいよ施工日は左官屋さんと朝から待ち合わせ。

まだ泥のモルタルに石を配置してみながら細かい仕上げの希望を相談します。

 前日色々スタディし、結局ほぼランダムで良いなと思ったのですが、

このランダムというのはなかなか作り手には難しいところ。

縦と横のおおまかなピッチを決め配置していくことに。

 

一か所一か所入魂で小さな石1~3ずつというルールをもとにを左官屋さんの感性で、

配置してくださいました。

私もじっと見ていたのですが、次はここかなぁと思った位置がぴったりあったりすると、

「やっぱりそうきましたか。」という感じでおもしろかったです。

「もうちょっと揺らして下さい。」みたいな抽象的な要望にもびしっと答えて下さいました。

あまりの真剣さにこの真剣さがお手本を見たときの願い事をしてるみたいと感じたことに

繋がっていくのかなと思いました。

 

一通り石を並べ、あとはスポンジでふき取りながら、荒せば出来上がり。

 

 

この真剣なまなざし。
この真剣なまなざし。
仕上げはスポンジふき取り。
仕上げはスポンジふき取り。

内覧会

お引渡し前日。

どうしても見てもらいたい人を、お迎えに。

玄関を開けるとまず階段が正面に見えるのですが、「登りたい~!!」と大興奮。

 

かなり気合いを入れて取り組んだ階段でしたが、構造となる鉄骨部分がなかなかうまくいった分、

その手摺の木の部分が必要だったか、施工で難しいことを要求していたこともあり、

自分の判断が正しいのか途中迷いがありました。

 

階段の手すりは全体のスキップでつながっていく空間をしっかりとそしてやさしくリードしてくれるような

ものにしたいというイメージがあり、それには空間に馴染んでしまう白い鉄骨では弱く、しかも上へ上へリードしてくれるものは、

温かみあるものが良いという判断で、赤いブビンガという木を選びました。

木工事は基本的には難しいところをなんでもないように見せるところに美学がある感じなのですが、

ここは一番最初から大工さんの腕に頼るかっこいいところみせちゃって下さいのような

フリの部分でしたので、うまくいくか心配でしたが、きれいにおさめて下さいました。

 

そんな経緯もあり、娘のこの言葉にうまくいったかなと思いました。

 

 



 

そして、お引渡し当日。

現場はラストスパート。そんな中だったのですが、何人か内覧会に同業者仲間が来て下さいました。

専門家の目線での意見をいろいろ聞くことができ、勉強になりました。

皆さん「おめでとう。」と声をかけてくれたりして、私にとっての一軒目はやっぱり

「おめでとう。」なんだなと思いました。

 

なかなか好評でホッとし、夕方には師匠の横内敏人先生の登場。

実は、冬頃プレッシャーと過労でどうして良いかわからなくなってしまい、

詳細図チェックを師匠にしてもらうなんていう恥ずかしい事件もあったのですが、

一通り出来上がったものを見ていただき、「そうだなぁ、ハナワをかけてあげなくちゃいけないね。」の一言。

・・・鼻輪?と思いましたが、花輪のことかと思い直し、「よくできました」ということかと。

お騒がせしましたが、そんな感じで色んな方に助けられながらここまで来れたなと思う夕方。 

お引渡し

朝から続いた必死のラストスパート。

最後にソファも届き、ゴールイン!!

実質4か月半ほどの工期でしたが、すばらしい奮闘ぶりで

何とか間に合わせて下さいました。

おつかれさまでした、本当にありがとうございます。

(4か月半というと一般的に言うと、短くないかもしれませんが、

設計事務所の仕事というのは、全体的に特注的な要素も多く、

注文が細かいこともあり、どうしても半年くらいかかることが多いのです。)

 

 

そんな様子を見ながら、ご主人が

「一年前、新築・リノベーション・マンション等も含め、散々探して、良いと思えるものに出会えず、

大きな金額をかける気になれなかった。けれど今出来上がったものを見て、

これならこの金額を出しても惜しくないと思えます。」と話してくださいました。

 

建主が踏みとどまって、私に連絡を下さったことから、始まったのですが、

 

高級なピカピカなものではなく、自由で楽しいもの。

シンプルなもの。

時の経過によって一層美しくなるもの。

 

が一緒に目指すものでした。

初めてメールをいただいた時にそんなご希望と自分の目指すものがぴったりと合っていて、

びっくりしたのを憶えています。

あとはシンプルないくつかのキーワードをもとにここまで形になったのですが、

お気に入りにできたでしょうか。

 

学生時代、建築は自然破壊的な行為なんじゃないかと悩んだのですが、

とにかくなんとか永く愛せるものを作って長く使ってもらう、それにより資源消費のサイクルをゆっくりにすれば、

継続可能になるんじゃないかというのが今のところ、私の行き当った回答です。

長く使えれば、お財布にもやさしくなるはずなのですが。

 

 

つけたての北窓のスクリーンが日没前のきれいな青に染まり、

それがきれいで、この家には毎日こういう夕方が来るんだなぁと

なんだかもうクタクタの体に、その青が染みこんでいくようでした。

 

そのあとはお引渡しを済ませ、お世話になった監督さんにお礼を言い、

ほとんど燃えカスの母(私)が子供たちをお迎えに行くのでした。

 

また資料がそろいましたら、Web内覧会を開催したいと思います。

 

 

 

建築工事はおしまい。

 

 

 

おまけ。お引越し後。



植栽工事

さて、最後の画竜点睛。

玄関扉脇の幅38㎝、奥行1mほどの植栽スペース。

 

小雨の中、朝から造園屋さんと待ち合わせ。今回は桜花園にお願いしました。

少し早く着いてしまったので、犬走りの石をもう一度洗い出していると、造園屋さん到着。

 

軽トラのカバーをとると中にはたくさんのかわいい植物が。

それだけでワクワクしてしまいますよね。

現場で合わせてみようと、かなりたくさんめの植物を持ってきて下さいました。 


それを軒下に広げ、メインをどうしようと、現場合わせ。

 

まずは、青しだれ。やっぱり、この季節緑がくると急に清涼感ますねぇと話ながら、

次は紅しだれ。ちょっと扉と同化しすぎかなぁと

山もみじ。ちょっと突っ立っているかなぁと、

もう一つの山もみじ。

結局、山もみじが和洋にも合いやすいかなと山もみじに決定。

それから、まず土底に軽石を敷く。

もう一本はどうしようか、コアジサイもかわいいけど、落葉なので、冬のことを考えて、

常緑のヒメサザンカに決まりました。

配置は始めは緑化面全てフラットだったのですが、木を植える部分は盛った方が良さそうということになり、

土を盛ってみると「なるほど~」壁をバックににきれいな曲線が出来上がりました。

よし、じゃあメリハリつけて、大山小山。その山を石で土止めし、下草をそれに沿わす。

大山小山はスナゴケで覆って、間に砂利を流し込めば・・出来上がり!

     

今晩からはこの子たちがお出迎えです。


写真撮影

待ちに待った写真撮影!

お天気は・・・曇りのち晴れ!良かった!

 

西内壁面がどうしても午前中の方がきれいに撮れる気がして、

午前中からの集合をお願いし、久々に柿本町の町屋にお邪魔しました。

 

今回は建主のご希望で写真家の田中和人さんに撮っていただきました。

 

 

 

「まんがのコマみたいに撮って下さい。」との要望に応えて撮ってくださったのはこのカット。

ビフォアー。片付け中。
ビフォアー。片付け中。
アフター。
アフター。

 

田中さんの目線でと思いつつも、あれこれ注文をつけてしまい、

結局汗だくで撮影が終わったのは午後三時。

 

現場最後がバタバタで十分に建物と向き合う時間がなかったこともあって、

「今日はみっちりこの家と過ごす♡」と勝手に決めてきたので、

そのあとも奥様が衣替えをされている横で、くつろがせていただきました。

ご無理もうしあげて申し訳ありません、おかげさまで一日の変化を見ることができました。 

 

 

夕方、秋空が机に映ってました。
夕方、秋空が机に映ってました。
夜景
夜景

 

 

そのあとはフライデーナイト。

 

素敵なオープンハウスパーティーを開催して下さいました。

家族も参加させていただき、総勢19名!

いろいろ美味しいものをごちそうになり、 

皆さんが楽しまれている姿まで見ることができ、改めて嬉しい気持ちになりました。

 

 

気づけば、初めてお会いしてから、一年半ほど経過し、子どもたちもひと回り大きくなっていました。

お嬢さまにとっても特別な経験になったら良いなと思いつつ、 

長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました。

ホームページ更新のお知らせ

ホームページのWORKSに「柿本町の町家」をアップしました。

ぜひご覧ください。

 

一年点検(スキップ町家)

スキップ町家の一年点検にお伺いしました。

竣工した物件は手塩にかけた娘を嫁に出したあとみたいなものなのでしょうか、

いざ引き渡してしまうと、なかなかお邪魔する機会もなくなってしまって、一年点検は久々に会える嬉しさと、連絡がなかったのはよろしくやっていたからのはずだけど‥というちょっとした不安とが入り混じります。

 

一通りチェックして、大きな問題もなくほっとしました。

木造の建物は最初の1・2年は特に木の乾燥等により動きがあり、材料の取り合い部分に、

隙間が出てきやすい時期になります。主にその隙間を埋める対処をすることになりました。

 

その帰りに、建主からいただいたチケットで二条城で開催中のアジア回廊現代美術展へ。

作品には作家さんがその場所に受けたイメージが反映されていて、掛け合いが面白かったです。

私が好きだったのはこの作品。場所のリズムにユーモアを加えたセンス、が好きでした。

ある時期の相当の労力をつぎこんで作った場所が今も私たちにインスピレーションを与えたり、

楽しんだりできることは宝だなと思いました。

その場所に命を吹き込むにはやはり人が必要で、ソフト面として、こういった企画が増えるといいなと思いました。ありがとうございました。